2度目に産まれた赤頭巾ちゃん。

人は母親のお腹から生まれ、人になった。
二度目に産まれた赤頭巾はオオカミのお腹から産まれ、何になった?
2度目の暗闇、二度目の胎。
その胎は獣の胎。生まれるべきは獣。
しかし生まれたのは赤頭巾。
本当に赤頭巾?
産まれたものは赤頭巾でさえない。
獣から産まれた赤頭巾。
人として間違いの多すぎる獣の子。
獣の子。
獣の子。
別の胎から再度産まれ直し、その胎の持ち主を母とする。
それは子が親を変える唯一の術。
赤頭巾は赤頭巾じゃなく、お婆さんさえもお婆さんでなく、彼女らは揃って生まれし姉妹であり、双子となった。

彼女らは不意に獣となった。
あなた方も変われるのだ。さぁ変わってみよう。


入れる胎はすぐそこにある。

九十九十九 (講談社ノベルス) (著)舞城王太郎

上に書かれた生まれ変わりは「九十九十九」の作中で、
九十九十九が行なった神聖なる儀式。であり、
セシルが行なった神聖なる儀式。でもあり、
セリカが行なった神聖なる儀式。でもある。
世界の交わり、世界の存在を感じてほしい。